ぷち解説
衣裳
義経千本桜
主な登場人物
 「すしやの段」までのあらすじ

今回の公演は「すしやの段」の上演です。それまでにどんなことがあったかというと・・・

 
  平家は滅亡。平重盛の嫡男維盛の御台所は、一門の人々が都を去って以来、夫の生死もわからぬまま、幼い子供と北嵯峨に隠れていましたが、維盛は生きていて高野山へ入ったとの噂を聞き、家来の小金吾に伴われ、高野山へと旅立ちました。 やがて一行は吉野の下市村に到着。茶店で休息中、男が現れ、一休みして立ち去りました。小金吾が荷物を見ると、別物。男にすり替えられたかと思いきや、男が慌てて戻り、取り違えを謝罪。中を改めた小金吾が、大切な重盛の絵像などすべて無事と知って安心したのも束の間、男は、荷物の中の金がなくなったと大騒ぎし、小金吾から金をゆすり取るのでした。 この悪者、いがみの権太は、この村の釣瓶鮨屋「弥助」の弥左衛門のどら息子。勘当同然の身とあって、同じ村に住みながら舅、姑に子供の顔も見せられないのを、妻が悲しみ、改心を求めようとも平気……。さて、日没後、小金吾は追手に囲まれ負傷し、御台所と若君を逃して絶命しました。その遺体を見つけたのが弥左衛門、何を思ったのか、首を切って包み、家へと急ぎます。
 

                                                   (財団法人文楽協会発行 平成二十四年十月地方公演 番付より)
 『義経千本桜 すしやの段』ゆかりの地巡り は こちら

増補大江山

解説
 大江山の酒呑童子退治で有名な源頼光の四人の家来“四天王”の一人に数えられる渡辺綱が、都で鬼を退治する物語です。明治三十三年(一九〇〇)に上演された『大江山酒呑童子』の「一条もどり橋の段」をもとにした作品で、大正時代から『増補大江山』の外題で独立して上演されています。  頼光の家来、渡辺綱と悪鬼の戦いを描いた作品。能の『羅生門』や歌舞伎舞踊劇『茨木』などと同系の物語です。
                                          (独立行政法人日本芸術文化振興会発行 第47回、67回=文楽公演 番付より)
  『増補大江山 戻り橋の段』ゆかりの地巡り は こちら
  

  
団子売
 
 「景事団子売」は、清元『玉兎』を義太夫化したものですが、『玉兎』が一人立で半裸の景勝団子の団子売の風俗をうつすのに対して、夫婦ものの団子売が杵と臼の道具を担いで団子を売り歩く二人立となっています。杵と臼とを夫婦になぞらえ、子孫の繁栄の願い、続いて童謡を取り入れたという〽お月様さえ・・・・・・」の件は杵造の一人立、そして〽さうだよ・・・・・・」からは高砂の松のおめでたい唄に合わせてお臼がお福の面をかけて(首を替えます)にぎやかで軽妙な踊りを披露します。
                                            (独立行政法人日本芸術文化振興会発行 第89回=文楽公演 番付より)
 前回「団子売」が上演されたのは、平成18年11月国立劇場開場40周年記念公演で、「伊賀越道中双六 藤川新関の段 引抜き 団子売」として上演されています。「伊賀越道中双六」には道行が無く、続く「岡崎の段」が悲惨な場面でもあり、チャリの飛脚の助平が遠眼鏡(望遠鏡)で、一里先の茶屋で馴染みの女郎が他の男と楽しんでいるのを見て悋気したり、通りがかった二人連れの団子売を呼び寄せようと、引抜きで団子売の場面が展開されています。ちなみに引抜きとは、突然大道具が変わり、景事を見せて又元に戻す趣向のことです。

ひらかな盛衰記
   「松右衛門内の段/逆櫓の段」までのあらすじ
   
 今回の公演は「松右衛門内の段/逆櫓の段」の上演です。それまでにどんなことがあったかというと・・・

 平家を打倒した木曽義仲は、京へ入り朝日将軍と称されましたが、横暴を重ねたため源義経によって討たれてしまいました。義仲の御台所は一子駒若を連れて、腰元お筆とその父鎌田隼人とともに大津へと逃れていきます。しかし、梶原景時の家来に襲われ、隼人は討死し、駒若は首を討たれ、御台所も息絶えます。

 ところが、討たれたと思った駒若の首は、同じ宿屋に居合わせた順礼の子の首でした。お筆は御台所を葬ると、若君を探しに旅立ちます。

                                        (独立行政法人日本芸術文化振興会発行 第102回=文楽公演 番付より)
   「逆櫓」とは・・・
    櫓は長時間漕ぎ続けても余り疲れず、能率の良い推進具ですが、ただ一つだけ不利な点があります。それは櫓は先に進む漕ぎ方しかできない事です。もちろん向きを変えるのはできますから、グルリと回って戻って来ればよいのですが、オールのように反対に漕げばうしろに下がるという漕ぎ方ではないのです。そこで梶原は船尾に向かって突き出した櫓も備えて、前進後進自由自在にしようと主張したのです。この普通の櫓と逆向きに取付けた櫓が逆櫓です。
               (独立行政法人日本芸術文化振興会発行 第27回=文楽公演 番付「逆櫓について」(松木哲・神戸商船大学教授)より抜粋)
『ひらかな盛衰記 逆櫓の段』ゆかりの地巡り は こちら


本朝廿四孝
   「十種香の段/奥庭狐火の段」までのあらすじ
 今回の公演は「十種香の段/奥庭狐火の段」の上演です。それまでにどんなことがあったかというと・・・

  室町将軍足利義晴は何者かに鉄砲で暗殺され、出仕を怠っていた甲斐の武田信玄と越後の長尾(上杉)謙信が落度を問われます。そして義晴の三回忌までに犯人を見つけ出せなければ各々の一子の首を斬って差し出せとの厳命が下ります。しかしその期限も既に切れ、両家は不安な毎日を送っていました。

                                      (独立行政法人日本芸術文化振興会発行 第112回=文楽公演 番付より)
   『本朝廿四孝』ゆかりの地めぐり は こちら

 
首の名前
 役名 かしら名 
 寿式三番叟
千歳(せんざい) 若男(わかおとこ)
(おきな) 孔明(こうめい)
三番叟 (さんばそう) 検非違使(けんびし) 
三番叟 (さんばそう) 又平(またへい)
 義経千本桜
娘お里(むすめおさと) (むすめ)
弥左衛門女房(やざえもんにょうぼう) (ばば) 
弥助 実は 平惟盛(やすけ じつは たいらのこれもり) 源太(げんだ) 
いがみの権太(いがみのごんた) 小団七(こだんしち) 
すしや弥左衛門(すしややざえもん) 正宗 (まさむね)
若葉の内侍(わかばのないし) 老女形(ふけおやま) 
六代君(ろくだいのきみ) 男子役(おとここやく) 
梶原平三景時(かじわらへいそうかげとき) 大舅(おおしゅうと) 
権太女房小仙(ごんたにょうぼうこせん) 老女形(ふけおやま) 
権太倅善太(ごんたせがれぜんた) 男子役(おとここやく) 
増補大江山
渡辺綱(わたなべのつな) 文七(ぶんしち)
右源太(うげんた) 陀羅助(だらすけ)
左源太(さげんた) 検非違使(けんびし) 
若菜(わかな) 角出しのガブ(つのだしのがぶ) 
鬼女(きじょ) 
 団子売
団子売杵造(だんごうりきねぞう) 源太(げんだ) 
団子売お臼(だんごうりおうす) (むすめ) 
お福(おふく) 
ひらかな盛衰記
船頭権四郎(せんどうごんしろう) 武氏(たけうじ) 
女房およし(にょうぼうおよし)  老女形(ふけおやま) 
駒若君(こまわかぎみ) 男子役(おとここやく) 
船頭松右衛門実は樋口次郎兼光(せんどうまつえもんじつはひぐちのじろうかねみつ) 文七(ぶんしち)
腰元お筆(こしもとおふで)  (むすめ) 
   
本朝廿四孝 
武田勝頼(たけだかつより) 若男(わかおとこ)
八重垣姫 (やえがきひめ) (むすめ) 
腰元濡衣 (こしもとぬれぎぬ) (むすめ) 
長尾謙信 (ながおけんしん) 鬼一(きいち)


 
衣裳
義経千本桜
娘お里 鼠縮緬紫板絣振袖着付け(ねずみちりめんむらさきいたごうしふりそできつけ)
弥助 納戸縮緬小棒縞着付(なんどちりめんこぼうじまきつけ)
 
 
増補大江山
渡辺綱 白綸子鶯茶錦袖熨斗目半腰(しろりんずうぐいすちゃにしきそでのしめはんごし)
若菜  紫綸子秋草縫中振袖着付(むらさきりんずあきくさぬいちゅうふりそできつけ) 
 
本朝廿四孝
八重垣姫 赤花紗綾形綸子秋草花霞流水繍振袖着付(あかはなさやがたりんずあきくさはなかすみりゅうすいふりそできつけ)
資料提供:国立文楽劇場衣裳部

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