演目ゆかりのすぽっと    
 『日吉丸稚桜』  
   
  駒木山城中の段  

 昨年(2014年)の11月公演も終わった晩秋の一日、「駒木山城中の段」ゆかりの愛知県小牧市小牧山を訪ねてきました。
 「駒木山城中の段」は、織田信長が永禄6年(1563)小牧山に城を築いて、美濃の斎藤龍興の稲葉城を陥落させた史実を取り入れてあり、床本では小牧山は「駒木山」として、稲葉城は「稲田城」と書かれています。

 小牧山へは、名古屋駅から地下鉄東山線に乗って、栄駅で名城線に乗り換え、平安駅で上飯田・名鉄小牧線に又乗り換え、小牧駅で下車します。二回乗り換えますが40分ほどで着きます。小牧駅からはバスに乗車し小牧市役所前で降ります。すぐ小牧山登山口に出ます。
 登山口あたりは町の中にあるちょっと大きな公園という感じでしたので、登るといっても散策程度かと思ったのですが…。

 小牧山は標高85mの小山ながら尾張平野(濃尾平野の木曽川左岸域のこと。右岸域は美濃平野といいます)の中央にある独立峰で濃尾平野を一望できるため、古来、軍略上の要地でした。
 天正12年(1584)の小牧長久手の戦いでは徳川家康がここに陣城を築いています。小牧山城はその後廃城となり、江戸時代は尾張藩領として一般の入山が禁止されました。そのため、山中の堀や土塁などの残存状態が非常に良好で、日本の城郭史上貴重な資料となっているそうです。

 登山道は、山裾から周回するようにいくつもの道が巡っていますので標識を確かめながら登っていくと、約15分で頂上の小牧城にでます。
 健脚の人であれば何もきつくはないのですが、そうでない人にはゆるい坂道も意外とえらく感じる登山道でした。当たり前のことですが・・・。(健脚は一緒に登った友人で、そうでないのは私です(汗)。)

 頂上に至る階段の下から見上げた小牧城は紅葉した木々に囲まれ、背景の平野を従えるかのようにそびえ立つ、風格ある建物でした。

 昭和5年(1930)、尾張徳川家第19代徳川義親氏が小牧山を小牧町に寄贈され、以来小牧山は自然公園として広く市民に親しまれ愛されてきたとのことです。お城の入り口に徳川義親氏の銅像が建立されていました。

  現在の小牧城(歴史館)は、昭和42年に名古屋在住の個人が私財を投じて建設して小牧市に寄贈したものです。安土桃山時代(16世紀後半)に建てられた国宝飛雲閣(京都市)をモデルに設計してあり、小牧山に城があった16世紀の面影を現代に伝えているのだといいます。

 歴史館の1~3階は小牧山遺跡の出土品や歴史に関する展示があり、4階は展望台になっていて、濃尾平野をパノラマのように見渡せます。
 戦国時代の三英傑といわれる信長・秀吉・家康が関わった歴史のある土地・ゆかりの山を訪ねたことで、「日吉丸稚桜」に描かれたその時代や歴史のいきさつ、土地の記憶などにふと触れた思いがしました。写真を撮ってお城を後にし、山を下りました。

 なお、車で行かれる場合は、駐車場があり、最初の二時間は無料です。(SM)

 
小牧山案内図
 
 
小牧山登山道
 
史跡小牧山
 
小牧山城
 
徳川義親銅像
 
小牧市歴史館
   
   
   
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