ご無沙汰しております。 皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。
 とうとう、令和3年度も残すところ3ヶ月とチョット(令和4年3月末まで)。 老後の楽しみとして、入団し学び教わり、文楽好っきゃねん!と控えめな自身を鼓舞しながら「文楽応援団」活動を20年間続けてまいりました。
 勢いだけが取り柄やのに、コロナ禍で昨年四月から展示室で対面での解説ができず、活動停止が未だに続いています。 昨年は急ブレーキ的に活動停止になってしばらくは放心状態でしたが、こうも長く続くとそれが普通になり慣れてしまっています。 団員さんたちに会えるのも公演中だけでそれもほんの一握りの方だけでした。

  ワクチン接種狂騒曲ありましたね。 年齢順に役所から届いたピンク色の接種券。 それを固く握り何度か申込みのシミュレーションをし、接種予約申込当日は、心配のあまり仕事を休んでくれた娘が旦さんの分、ワタシは自力で第1回目の接種予約が無事にできホッとしました。 これで、夏休み特別公演に行ける、と嬉しさがこみ上げました。 副反応も、それなりにありましたが大事に至らずに2回目も済ますことができました。 これで安心とほっとしていましたら・・・ ここにきて3回目接種もあり、という話になってきました。 こうなったら、いつでも喜んで接種させてもらいます。 終息はあともう一寸やと思うのですが先が読めないですね。
 山中伸弥先生は昨春に、終息には3年か4年を要すると言われていたので、シッカリと手指消毒してマスク着用し、なるべく人混み避けて生き延びなくてはいけません。

  令和3年度の公演。
 四月公演(4/3~4/25 14日休演) 無事に初日の幕が上がりホッとしました。 浄瑠璃節がワタシの細胞一つずつに沁み込むような、砂漠で水を得たような潤いを得ました。 公演中重大発表、『国性爺合戦』の錦祥女を遣っておられた吉田簑助師が引退されると。
  えっまさか。 世界中に衝撃が走りました。 ワタシは千穐楽のチケットを慌てて入手しました。 それなのに、それなのに、 コロナ罹患者が増大し、千穐楽前日に打ち止めになりました。 なぁんでもう一日幕を上げてくれへんかったんやろか。 恨み骨髄とはこういう事を言うんかな。 地団駄踏んでも決まったことで仕方ない、 使えなかった千穐楽のチケットは後生大事に仕舞っておきます。
 『小鍛冶』 文楽劇場ではあまりお見かけしない一種独特の装いの若い人たちが開場をはまだかと一階のエスカレーターに長蛇の列を作っていました。 いったい何ごとやろか、上がって行ってわかりました。 文楽人形の『刀剣乱舞―ONLINE-』の刀剣男士「小狐丸」が拵えてありました。
  首(かしら)は銀髪で目は赤く、衣裳は誂えだそうです。 その隣に等身大の刀剣男士「小狐丸」のパネルも並んでいました。 今時の言葉で「インスタ映え」のスポットです。 文楽劇場を背景にした刀剣男士「小狐丸」のスタンプもあり、押印するための人だかり。 ミーハーなワタシも話のネタにと、並んで押印し家族や友人に見せびらかしました。 そう言うわけで開演前は千穐楽前日まで、一階のフロアーは大勢の人が列をなし、警備の方が入場制限して二階へ誘導されていました。 文楽観始めてこのような光景は見たことがありません。 このコラボ企画に拍手喝采。
 文楽好っきゃねんのワタシもとても楽しんでいました。 この時来られた若い人たちが、いつかまた文楽劇場に足をはこんで文楽観てくれたら嬉しいなぁ。

  文楽鑑賞教室はコロナ患者増大で土・日曜日のみ休演でした。実に残念です。

 夏休み特別公演(7/16~8/3 7/26休演) 第一部親子劇場に孫二人(8歳児男児と5歳児女児)が来てくれました。 『うつぼ猿』も『舌切雀』もシッカリ舞台に目を向けて見ていました。 子供向けの演目、なかなか難しいですが観たお子さん達にはきっと何かが残ると思っています。 いつもなら、展示室で団員たちが1年かけて折り続けている折り紙をお配りしているのですが、それもままなりません。
  『生写朝顔話』 すれ違い続けた深雪の思いが届いてホンマに良かったです。
 『夏祭浪花鑑』 何度見ても何度見ても、「八丁目、差して」で大きなため息が出て、どうか逃げおおせて、と願っています。 祭囃子いいですね、コンコンチキチン・・

 クラウドファンディング。 人形浄瑠璃の300余年の歴史でこういう事ができるとは、発想が柔らかいんやね。 8/7文楽技芸員さんたちが自ら企画し運営資金をCFに託した「文楽夢想」。 大盛況でした。若いエネルギーが溢れていました。 文楽好っきゃねんのワタシは感動の渦に飲み込まれました。 こんなことできたんは「コロナ」のお蔭と言わなアカンのかな、と複雑な思いでした。

 錦秋公演(10/30~11/21 11/10休演)
 『蘆屋道満大内鑑』 「蘭菊の乱れ」舞台上に葛の葉母狐を遣う和生師ただ一人。 語る呂勢太夫の「今は嘆かじと、言えど乱るゝ蘭菊を分けつゝ行けば・・」 を聴くと切のうて堪りませんでした。
  『ひらかな盛衰記』 あの「やっしっし」やなと誰が言うていました。 そうです、あの「やっしっし」です。 船頭松右衛門が登ったという松の木、福島区に建つマンションの敷地に有る松の木がその子孫かなと思いをはせて、文楽応援団団員たちと演目ゆかりの町歩きで見学に行きました。 玉也権四郎の訴人の理由も、それを知っていての玉志重忠の暇乞い。 わかりにくいこと満載の浄瑠璃。
 文楽はスルメやな、というていた人が居ます、せやなぁ噛めば噛む程旨い、涙が出る程旨いなぁ。 この演目を以前にも観ているんですが、今回胸にグッと来るとこが多くて、手を握り締め過ぎて肩が凝りました。 年齢を重ねてから観るのとそれより以前に観たのと、受けとめるココロが違うんだと今更ながら思い知ったのでした。 コロナ禍だからこそココロが重く受け止めたんやろか。
 『団子売』 公演時間の調整で付け加えたんやろかという思いもあるやろけど、よぉく耳を澄ませて聴いてみてください。 何ともまぁなんということでしょう。 文楽が大人の人形芝居やということです。
 『ひらかな盛衰記』 第二部と同じ外題。 どっちか片一方だけ鑑賞しても満足は得られたと思いますけど、いかがでしたか。 国立文楽劇場で33年振りの上演です。 昭和63年(1988)に全段の上演だったんです。 先代玉男さん、文雀さん、簑助さん、文吾さん、紋壽さん・・懐かしがっているわけではありません。 以前に「笹引き」の段を見たことあるんちゃうかと思って調べました。 舞台やのうて映像でみたんやろか。 笹で人一人乗せて運べたんやろか、と疑問を持った記憶があるのですが曖昧なんです。  

 初春公演(1/3~1/26 14日休演) 初日恒例のイベントは、劇場正面玄関前に設置された特設舞台で新年のご挨拶、黒門市場から大きな雌雄の鯛の贈呈、大きな樽酒の鏡開、文楽人形の手から枡酒の振る舞い・・ それらが全て中止になりました。 仕方がないとは言え寂しい限りです。 大きな鏡餅、紅白の餅花はあると思います、多分。

 第一部 開演11時~ 『寿式三番叟』 『菅原伝授手習鑑』 街中に掲示されている初春公演ポスターの松王丸、格好イイですね。
 第二部 開演14時15分~ 『絵本太功記』 名作です。 登場するは尾田春長、武智光秀、真柴久吉、なんとも微妙な名前です。
 第三部 開演17時半~ 開演時間が30分早いので、お間違えの無いようにおいでください。 『染模様妹背門松』 『戻駕色相肩』 チョット久し振りの上演です。

 今年も残り少なくなりました。 文楽応援団は不滅です。 いつかきっと必ず、明るい笑い声を展示室でご披露いたします。 それまではどうかもう少しお待ちください。 初春公演中は足しげく通いますので、見かけたらお声かけてください。 来年こそは、とあんまりリキまず一人でも多くの方々と、三密にならぬように心がけて文楽談義で楽しく過ごせたらいいなぁと願っています。 コロナになんかに負けず、どうかよいお年をお迎えくださいね。

さぁ来年も文楽に トラ(寅)イ❢                                        
      (2021.12.14)    

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